🧾 1.相続時精算課税制度ってなに?
相続時精算課税制度(そうぞくじせいさんかぜいせいど)とは、贈与税を一時的にゼロまたは少額に抑えて財産を早めに移すことができる制度です。
ただし名前のとおり、相続時にまとめて精算(清算)するルールがあります。
📌 2.どういう制度?仕組みをざっくり図解
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│ 贈与時(生前) │← 最大2,500万円まで贈与しても税金ゼロ!
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│ 相続時(死亡時) │← 相続税を計算するとき、贈与分を合算して税額を確定
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📚 3.制度の概要とポイント
項目 | 内容 |
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対象 | 贈与する人 → 60歳以上の父母・祖父母 贈与を受ける人 → 18歳以上の子・孫 |
非課税枠 | 生涯で2,500万円まで(超えた分に一律20%の贈与税) |
適用回数 | 一度選ぶと暦年課税に戻れない(原則終身) |
相続時 | 贈与された財産は相続財産に合算して相続税計算される |
🎯 4.どんなときに使うの?
- 🌱 住宅購入の援助などで一度に大きな額を渡したいとき
- 🏢 事業承継で自社株や不動産を子に贈与したいとき
- 💡 将来の相続より早く財産を移しておきたいとき
👍 5.メリット
メリット | 解説 |
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💰 贈与時に税金がかからない(2,500万円まで) | まとめて資産を移せる |
🏠 不動産や株式など、価格上昇が予想される資産に有利 | 安い評価で贈与できる |
📑 何度でも贈与できる(累計2,500万円まで非課税) | 長期的な資産移転に向いている |
⚠️ 6.デメリットと注意点
デメリット | 解説 |
---|---|
🔁 一度使うと暦年課税(毎年110万円非課税)に戻れない | 将来の贈与がすべて精算課税扱いに |
🧮 相続税計算がやや複雑に | 相続時に“まとめて”税がかかる可能性あり |
📉 財産の価値が下がった場合でも、贈与時の評価額で相続税計算 | 結果的に不利になることも |
📌 7.2024年の改正ポイント(簡易)
- 精算課税を選んでも、110万円の基礎控除が使えるようになりました(2024年から)。
- よって、「少額の贈与」でも精算課税を選びやすくなっています。
💡 8.活用のコツと事例
事例①:自宅購入資金を1,500万円渡したい
→ 暦年課税だと贈与税が数百万円必要だが、精算課税を使えば非課税で贈与可能。
事例②:非上場株式(自社株)を早期に移す
→ 価値が上がる前に贈与し、相続時の税負担をコントロール。
✅ まとめ
比較項目 | 暦年課税 | 相続時精算課税 |
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基礎控除 | 毎年110万円 | 生涯2,500万円+110万円(2024年改正) |
税率 | 最大55% | 一律20%(超過分のみ) |
相続時の取り扱い | 3~7年以内の贈与のみ加算 | すべて相続財産に加算 |
🔍 こんな人におすすめ!
- 子どもや孫にまとまった金額を非課税で渡したい
- 不動産や株式の評価額が低いうちに移したい
- 将来の相続を計画的に整理したい人
✍️ 最後に
相続時精算課税は「今渡す vs 将来まとめて計算する」という時間軸のコントロールに活用できます。
ですが一度選ぶと戻れない制度ですので、暦年課税との比較や、相続財産全体を見通した上で選択することが大切です。
贈与契約書の作成や、税務申告のフォローは税理士さんとしっかり連携して行いましょう。
