🧭 はじめに

相続や後見、遺言手続きで必要となる「戸籍の取得」。
2024年の戸籍法改正により、全国どこの役所でも出生からの戸籍がまとめて請求できる「広域交付制度」が始まりました。

ですが…
実はこの制度、行政書士などの代理人は利用できません!

本記事では、制度の概要、便利なポイント、そして行政書士として押さえておくべき注意点をわかりやすくご紹介します。


✅ 1.戸籍の広域交付制度ってなに?

📌 概要

  • 2024年3月1日施行(戸籍法改正)
  • 全国どこの市区町村役場でも、他市町村の戸籍(本籍が別の場所)を取得できる制度

🗂 取得できる戸籍書類

  • 戸籍謄本(全部事項証明)
  • 除籍謄本
  • 改製原戸籍 など

👨‍👩‍👧‍👦 2.誰が利用できる?

利用者条件
本人自分の戸籍
配偶者婚姻関係にある配偶者の戸籍
直系尊属父母・祖父母など
直系卑属子・孫など

本人や直系親族本人が、直接役所の窓口に出向くことが前提です。


🧾 3.行政書士など代理人は使えるの?

❌ 結論:使えません(2024年6月現在)

  • 行政書士などの第三者が広域交付制度を利用して取得することは不可
  • 委任状があってもダメ
  • 広域交付制度は「本人等」が直接窓口に来る場合に限定

💡 行政書士ができる方法

  • 本籍地の役所に対する郵送請求
  • 現地の役所で従来どおりの代理取得

📝 4.手続き方法(本人が窓口で行う場合)

必要なもの内容
本人確認書類マイナンバーカード・運転免許証など
請求書各市町村役所に様式あり(ホームページ等)
手数料戸籍1通あたり450円(全国共通)

🎯 5.どんな場面で役立つ?

  • 相続手続き(相続人調査・戸籍一式収集)
  • 成年後見の親族関係確認
  • 遺言書の添付資料の取得 など

👉 本人や親族が直接動ける場合は、非常に便利!


⚠ 6.注意点まとめ(誤解されやすいポイント)

誤解されやすい点正確な情報
委任状があれば代理人でもOK?❌NG。本人・直系親族しか使えません
行政書士なら1か所で取れる?❌不可。郵送請求や現地請求が必要
すべての親族の戸籍が取れる?❌対象は直系親族のみ。兄弟姉妹は対象外

✅ 7.まとめ

内容ポイント
広域交付制度2024年スタート。本人や直系親族なら全国の役所で戸籍を取得可
代理取得広域交付制度では不可能。従来どおりの郵送請求等が必要
実務対応行政書士は委任を受けて、本籍地ごとの郵送対応を継続する必要あり

✍️ 行政書士としてひとこと

「戸籍の広域交付」は確かに便利ですが、本人限定の制度である点には十分な注意が必要です。
相続人調査や遺言作成などで必要な戸籍は、行政書士として引き続き慎重に収集計画を立て、漏れのないよう郵送請求を行う対応が求められます