行政書士・司法書士・弁護士・税理士の役割と費用を比較
はじめに
遺言書の作成や遺産分割に関する手続きは、法律が関係する専門分野です。
しかし、ひとくちに「専門家」といっても、行政書士・司法書士・弁護士・税理士など複数の士業が関わる可能性があり、誰に相談するべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
今回は、それぞれの士業の業務範囲・特徴・費用感・向き不向きを公平に解説します。
主な士業と対応可能な範囲の比較表
士業 | 主な対応業務 | 裁判対応 | 税務対応 | 登記対応 | 遺言書作成 | 費用感(目安) |
---|---|---|---|---|---|---|
行政書士 | 遺言書作成、遺産分割協議書の作成、相続人調査など | × | × | × | ◯(原則は自筆証書等) | 数万円〜10万円程度 |
司法書士 | 相続登記、遺産分割協議書作成、相続人調査 | × | × | ◯ | ◯ | 5万〜15万円前後 |
弁護士 | 遺産分割の紛争、調停・訴訟、遺留分請求など | ◯ | △ | △ | ◯(代理可) | 10万〜30万円+報酬型 |
税理士 | 相続税申告・節税、財産評価 | × | ◯ | × | △(税務視点から) | 相続税額の0.5%〜1% |
士業別の特徴と「このときはこの人!」という判断基準
✅ 行政書士:文書作成のプロフェッショナル
- 公正証書遺言の原案作成や自筆証書遺言の作成支援に強い
- 遺産分割協議書の作成や相続人調査も対応可能
- 費用は比較的安価で、法的トラブルがなければ十分
📌 こんな時におすすめ
平和的に遺言書を整えたいとき、家族間の争いがないとき
✅ 司法書士:不動産登記と法律文書に強い
- 相続による名義変更登記(相続登記)の代行が可能
- 法律文書作成にも慣れており、行政書士業務とも重なる部分あり
📌 こんな時におすすめ
相続登記まで一貫して進めたい、法的整合性のある書類を作りたい
✅ 弁護士:争いがあるなら迷わず相談
- 遺産分割や遺留分侵害など、相続トラブル対応のエキスパート
- 調停・訴訟の代理も可能で、法的交渉も一任できる
- 費用は高額になりやすいが、「もめる」相続には不可欠
📌 こんな時におすすめ
遺留分トラブル、遺産分割でもめている、調停・裁判の可能性がある
✅ 税理士:節税・相続税申告ならこの人
- 相続税の申告期限(10ヶ月以内)に対応
- 相続財産の評価(特に不動産や非上場株式)にも専門知識が必要
- 節税策(生前贈与、小規模宅地の特例など)の提案も期待
📌 こんな時におすすめ
財産が多く、相続税が発生する可能性があるとき
結論:一人に決めなくてもOK。連携がカギ
実は「どの士業にするか」を一人で決める必要はありません。
多くの場合、行政書士・司法書士・税理士・弁護士がそれぞれの得意分野で連携しています。
たとえば……
- 行政書士が遺言書原案を作成
- 司法書士が不動産の相続登記
- 税理士が相続税の申告
- 弁護士が調停代理や争訟対応
といった流れで、必要に応じてバトンを渡すのが理想的です。
おわりに
相続や遺言に関わる手続きは、一見すると「誰に頼めばよいのかわからない」ものですが、状況に応じた専門家に相談することで、スムーズかつ安心して進めることができます。
当事務所「シュガー福祉行政書士事務所」では、行政書士として遺言・相続文書の作成支援を中心に、他士業との連携を重視した対応を行っております。お気軽にご相談ください。